多くの方が、塾講師がどのような雇用形態であるかを知らないのではないでしょうか。まず、塾講師になる経緯は大きく分けて3つあります。もっとも多いのは、大学在学中、あるいは大学院在学中から塾でアルバイトをしているうちに、その能力を認められて正社員になるケースです。この種の講師は、若いころから受験産業で働いているだけに、鍛えられています。次に多いのは、大学院在学中、または大学院を出たものの専任職が見つからず、塾でアルバイトをしているうちに、いつのまにかたくさん稼ぐようになったケースです。いわゆるオーバードクターです。このオーバードクターの塾講師は、定職が見つかるまでの「つなぎ」として勤務しているので、雇用形態はアルバイトであることが多いです。
最近増えてきたのは、脱サラ組です。サラリーマンをしていたがつまらなくなって、やりがいを求めて塾講師を始めたというケースです。この種の塾講師は、人生経験を売り物にします。サラリーマン時代の面白い話で生徒を引きつける傾向があります。塾という場所では、学校のような教え方をしていては生徒は集まりません。そこで、何らかのパフォーマンスを行って、生徒に興味を持たせながら、教えたことを思考力に変えていくのが、優れた塾講師の特徴です。そのため、良い塾かどうかを見分けるには、講師の雇用形態にこだわるのではなく、授業をひとつのショーだと捉え、生徒に飽きさせない工夫をしているかどうかが大きな判断基準になります。塾講師は正社員であれアルバイトであれ、何らかの演技をして生徒の興味を引いているのです。